鬼コーチからの手紙

その出来事以外の小学校生活は、
ほぼミニバスケットボール。

全国大会に出場するような強豪チームだったので、
当然練習は厳しく、
家に帰るとすぐに寝落ちするような毎日。

当時はスパルタ教育という言葉が普通に使われ、
とにかく体力と精神論の世界。

ミスをすればケガをしそうなくらいの厳しい指導でしたが、
不思議と辞めたいと思ったことはなく、
メンバーも誰一人として辞めませんでした。

厳しい練習以上に単純にバスケットが楽しかったのです。

同学年のメンバーは160センチほどでしたが、
当時の私は身長が平均以下でかなり小さく、
130センチくらい。

なので私の役目は、
自陣から敵陣へのボール運び。

けれども自分は下手くそだと思っていたので、
毎朝1時間ほど早く学校へ行っては、
一人でドリブルの練習をしていました。

もちろん誰もいない体育館だったので、
このことを知っている人はいないと思っていました。

ところが知っていた人がいたのです。

それはチームのコーチ。 

コーチが見ていたことを知ったのは、
六年生の最後の大会も終わり、
後輩やコーチ、監督が催してくれた送別会の時。
 
渡された記念品の中に手紙が入っていました。

「お前のドリブルはチーム1番だ。

 チームの誇りに思う。

 自信を持っていい。

 毎日よく続けたな。」

そこにはそう書かれていました。 

ミスをすると、

「後ろ向け!ほうきとスリッパどっちがいい!」

なんて言って怖かったコーチ。

それまで褒められたことなどなく、
ビックリしましたが、
見ていてくれたこと、
褒めてくれたことが本当に嬉しく、
今でも心に残っています。

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